芸術新潮 2016年 06 月号

新潮社の月刊芸術誌『芸術新潮』。ライトな読者も狙ったちょっと毛色の変わった特集をすることがあります。今号の特集は「仁義なき聖書ものがたり」。特別聖年を記念して旧約聖書を題材にした暴力・エロスのシーンを描いた名画とともに広島弁（！）を駆使したヤクザ映画のような“超解釈”の小説を紹介する斬新な企画です。小説は広島生まれの作家、架神恭介氏の手になります。アートよりもヤクザ映画、Vシネ好きの私は結構楽しめました。だって「カインとアベル」が「おどりゃ、ばかたれ」と罵り合ったり、モーセが「堪忍してつかぁさい」とか言うのですから。くだらなくていいです。それで、名画も楽しめるという贅沢な誌面です。「ふざけんな！」と怒ってしまう真面目な人もいると思いますが、こういう切り口で芸術誌の特集を企画するのは楽しそう。最近は一度当たった企画を焼き直しする保守的な雑誌が多いですが、こういう攻めている雑誌は好きですね。